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『森崎書店の日々』感想|書店をめぐる縁と、素直になること

神保町を思わせる古書店街の通り。店先に本が並ぶ風景に『森崎書店の日々』と八木沢里志の文字を重ねたアイキャッチ 本を読む

こんにちは、蝶まめです。

今回紹介するのは、『森崎書店の日々』/八木沢里志。

📖 読書天気:薄曇り🌥️ 
人の縁に温かさを感じながら、素直になれない姿にもどかしさが残る。

「書店」がタイトルに入っているだけで、本好きとしては気になってしまいます。

神保町にも昔から憧れがあり、いつか歩いてみたい街のひとつです。

訪れたことはないので、実際の雰囲気を知っているわけではありませんが、この物語を読みながら、古書店のある街の景色を想像しました。

こんな人におすすめ

  • 書店や古書店が舞台の物語に惹かれる人
  • 神保町を舞台にした小説を読んでみたい人
  • 本を通じて人との縁がつながる話が好きな人
  • 大切な人に素直になれない気持ちを描いた物語を読みたい人
  • 穏やかな日々や人間関係をゆっくり味わいたい人

大きな事件が次々に起こるというより、古書店で過ごす時間や、そこに集まる人たちとの関係が描かれる作品。

登場人物の気持ちがすぐには伝わらず、少しやきもきする部分も…。



『森崎書店の日々』はどんな本?

恋人から突然、ほかの女性と結婚すると告げられた貴子。

職場恋愛だったため、恋人だけでなく仕事も失った彼女は、叔父のサトルから声をかけられ、神保町の古書店「森崎書店」で暮らしながら店を手伝うことになる。

親類の間では変わり者として知られる叔父と、森崎書店を訪れる人たち。

貴子は本のある店で過ごしながら、少しずつ周囲の人々と関わっていく。

感想|人との縁と、素直になれない気持ち

王道の始まりに、少し笑ってしまう

物語の入り口は、最近読む作品でもよく見かける恋愛のパターンです。

正直、「またこの形か」と思ったのも本音。

貴子に強く感情移入するより先に、「浮気された側が悪者にされる話ではないよね?」と、少し心配しながら読むという…。

けれど、作品全体の穏やかな雰囲気もあって、定番の始まりを身構えすぎずに楽しめたと思います。

森崎書店を中心に、縁が重なっていく

物語の舞台は、森崎書店とその近くを中心にした小さな世界です。

そこでの人間関係が少しずつつながり、貴子の暮らしにも新しいものが加わっていきます。

登場人物たちの生活が大きく広がっていく話ではありませんが、店で過ごした日々や出会った人たちとの関わりが、貴子の人生の一部になっていくところに温かさを感じました。

叔父さんは少し変わっていて、貴子から見ても「変人」。
とはいえ、私は変人とは感じなかったんですけどね(笑)

森崎書店は叔父さんにとっての居場所であり、貴子にとっては、そこで過ごした時間や出会いが後の人生にも残る場所になっていく。

その違いも印象に残りました。

大切な気持ちには、嘘をつかない

読んでいて何度か、「もっとはっきりしろよ!」「素直になれよ!」と言いたくなる部分も。

大切に思う気持ちがあるのに、素直になれない。

相手のためを思っているつもりで、気持ちを伝えないままでは、大切なものを失ってしまうこともある。

素直になることは、関係にけじめをつけることにも、守りたいものを守ることにもつながるのだと思います。

自分自身に嘘をつくことほど、辛く苦しいことはないかもしれません。

まとめ|書店で過ごした日々が、人生に残る

『森崎書店の日々』は、読んでいる間に大きな驚きが続く物語ではありません。

書店を中心にした小さな人の輪の中で、出会いや経験が重なっていく。

その時間が貴子の人生に残っていくところに、不思議な温かさがありました。

人を大切に思う気持ちを言葉にすることや、相手との関係に向き合うことについて、かなり考えさせられる読了感に満足。

本好きなら、「書店」の文字に惹かれる人も多いはず。

神保町の古書店を舞台にした、穏やかな人間模様を読みたい人におすすめしたい一冊です。

私も絶対いつか神保町を訪れてみたいという気持ちが強くなりましたし、続編で描かれる森崎書店の日々も気になっています。