こんにちは、蝶まめです。
今回紹介するのは、東野圭吾さんの『探偵ガリレオ』
📖読書天気:曇り
科学トリックの面白さに惹かれながらも、人の感情や言動に引っかかる場面も。短編ごとに違う空模様が残る一冊でした。
東野圭吾さんの作品を、改めて読みたくなっています。
これまでにも何冊も読んできた作家なのに、まだ読んでいない作品はたくさんある。
そんな中で今回手に取ったのは、ガリレオシリーズの第一作『探偵ガリレオ』です。
ドラマも観ているし、『容疑者Xの献身』の湯川学も知っている。
だからこそ気になったのは、私たちがよく知る“ガリレオ先生”が、最初はどんな人物として登場したのかということでした。
科学を使った不可思議な事件の謎解きは、もちろん面白い。
でも読み終えてみると、科学トリックとは別のところにも、思った以上に心を引かれていました。
『探偵ガリレオ』はこんな人におすすめ
- ガリレオシリーズを最初から読んでみたい
- 短編ミステリーが好き
- 科学を使った少し変わった謎解きを楽しみたい
- ドラマ版『ガリレオ』が好きだった
- 湯川学という人物が気になっている
『探偵ガリレオ』は、一話ずつ独立した短編集です。
科学が大きな鍵になる作品ですが、難しい理屈をすべて理解しないと楽しめない本ではありません。
むしろ「どうしてこんなことが起きたの?」という不可思議な現象を追いかけているうちに、自然と物語に引き込まれていきます。
『探偵ガリレオ』はどんな本?
刑事・草薙俊平が担当する不可解な事件。
その謎を解くため、草薙が頼るのが大学時代の友人で物理学者の湯川学です。
常識では説明できないように見える出来事も、湯川は科学の目で見つめていく。
現在ではすっかりおなじみの“ガリレオシリーズ”ですが、この『探偵ガリレオ』がその始まりです。
ドラマの印象が強い人にとっては、原作の草薙と湯川の関係も新鮮に感じるかもしれません。
草薙が事件を持ち込み、湯川が興味を示す。
そこから謎がほどけていく――。
シリーズの原点だからこその空気があり、それも第一作ならではの面白さでした。
科学より気になったのは「人」だった
科学を使ったトリックはどの話も面白かったのですが、読み終えて振り返ると、私が好きだった話と苦手だった話を分けていたのは、トリックより登場人物でした。
一番好きだったのは「燃える」
五編の中で一番好きだったのは、最初の「燃える」です。
もちろん、事件で起きたことそのものを肯定することはできません。
それでも、そこに至るまでの感情には、どこか理解できる部分がありました。
ただ悪意だけを抱えた人物としては見られなかったし、それまで頑張ってきた人だからこそ、「どうしてこんなことになってしまったんだろう」と思ってしまう。
単純な善悪だけでは割り切れないところが、一番心に残りました。
一番気分が悪かったのは「離脱る」
逆に、読んでいて一番気分が悪かったのは「離脱る」。
事件そのものというより、ある人物の言動がどうしても苦手でした。
その横柄さも含めて、読み進めるほど「私はこの人、嫌だなあ……」という気持ちが強くなりました。
事件の大きさだけではなく、登場人物のちょっとした言葉や態度で読後感は大きく変わる。
短編集だからこそ、そんな違いも面白く感じました。
まだ“ガリレオ先生”になる前の湯川学
そして今回、短編それぞれの事件と同じくらい気になったのが、湯川学という人物です。
湯川は、自分が優秀であることは分かっていると思います。
でも、それを特別なことだと思っている感じがあまりない。
自分の中では、それが普通。
だからこそ、周りが自分をどう評価しているかにも、それほど興味がないように見えます。
少なくともこの一冊を読む限り、人付き合いを積極的に広げて、出世のために顔を売るタイプにも思えません。
研究したいことを研究できる世界にいられれば、それでいい。
そんな印象があります。
そう考えると、逆に気になってくるんです。
大学ではどんな立ち位置なんだろう。
同僚からは「付き合いづらい人」と思われているのか。
学生からは怖がられているのか、それとも意外と信頼されているのか。
草薙のように昔から友人として付き合っている人もいる。
後の作品を知っていると、湯川の本質を理解し、信頼している人が少なくないことも分かります。
決して人当たりがいいタイプではないのに、それでも人から信頼される。
そこも湯川学の魅力なのかもしれません。
「爆ぜる」のように、湯川が普段いる大学という世界を少し近くに感じられる話は、事件とはまた別の面白さがありました。
シリーズの原点だからこそ、これからの湯川を追いたくなる
今ではすっかりおなじみになった“ガリレオ”という呼び名。
その呼び名がこのシリーズでどう生まれるのかも、初めて読む人にはぜひ本編の中で出会ってほしいところです。
そこに見える湯川の反応も、なんとも彼らしい。
自分が優秀であることは理解していても、それを周囲が思うほど特別なこととは感じていない。
そんな湯川の人物像がよく表れているように思いました。
この一冊では、まだシリーズの始まりに立ったばかりの湯川学。
ここからどんな人物として輪郭を深め、私たちの知る“ガリレオ先生”になっていくのか。
これから初めてシリーズを読む人なら、その変化を追いかけるのも楽しみのひとつだと思います。
私は後の湯川を知っています。
だから今度は逆に、
「あの湯川学が、ここからどう出来上がっていったのか」
を追いかけたくなりました。
ガリレオシリーズの最初の一冊。
科学ミステリーの面白さだけではなく、湯川学という人物に出会う物語としても、ここからシリーズを読んでみたくなる一冊でした。
