本が好きだと言っていると、たまに聞かれる。
たぶん、聞く側としては何気ない質問なんだと思う。
でも私は、この質問がちょっと苦手だ。
いや、好きな本がないわけじゃない。
むしろ、かなりある。
「これは好きだなあ」と思った本も、「また読みたい」と思った本も、たくさんある。
なのに、「おすすめは?」と聞かれると、急に困る。
なんでだろう。
たぶん、“おすすめ”という言葉が大きすぎるんだと思う。
「おすすめ」が大きすぎる
どんな本が好きなのか。
最近、どんな話を読んでよかったと思ったのか。
ほっこりしたいのか。
重たい話が読みたいのか。
びっくりしたいのか。
そういうことが何も分からない状態で、
「じゃあ、これ!」
と一冊を差し出すのは、私にはなかなか難しい。
もちろん、
「どんでん返しがある本が読みたい」
とか、
「こんな設定の話ってある?」
みたいに聞かれたら、わりと答えられる。
「あ、それならこんなの読んだことあるよ」
って。
私はびっくりしたよ、とか。
こんな設定だったよ、とか。
そこまでは言える。
でも、
「きっとあなたも好きだよ」
とは言えない。
そこから先は、その人が読むものだから。
万人受けする本なんてない
たぶん私は、万人受けする本なんてないと思っている。
ものすごく話題になった本でも、評価が高い本でも、誰にでも刺さるわけじゃない。
当たり前といえば、当たり前なんだけど。
同じ本を読んだって、見るところは人によって違う。
以前、本の話ができる身近な人に、
「これ、よかったよ〜」
と話すことがよくあった。
でも、
「全然だめ」
とか、
「何がよかったの?」
とか言われることが増えてきて。
あるときは、
「これとこれって、根底にあるものがちょっと似てない?」
くらいの軽い気持ちで話したら、
「全然似てないから。どこを見て読んでるわけ?」
と言われた。
……いや、そこまで言う?(笑)

たぶんその人と私は、同じ本を読んでも見ている場所が違う。
ただ、それだけなんだと思う。
でも、こういう経験があると、
「自分がよかったと思った本を、そのまま誰かにすすめる」
ことには、やっぱり慎重になる。
相手を知らずに選ぶのは難しい
本気でその人に合う本を選ぶなら、私はその人のことをもっと知りたい。
これまでどんな本を読んできたのか。
どんな話をおもしろいと思ったのか。
文章は読みやすいほうが好きなのか。
少しクセがあっても大丈夫なのか。
純文学でもいけるのか。
そんなことをいろいろ聞きたくなる。
でも、質問をいくつかしたくらいで、
「はい、あなたにはこれがぴったりです」
なんて選べる気もしない。
その人が何を読んできて、どんなふうに受け取ってきたのか。
そこまで含めて考えるなら、それなりに付き合いがないと分からない。
だから私は、
「おすすめの本ある?」
と聞かれるより、
「今、ちょっと驚ける話が読みたい」
とか、
「こういう設定の本ってある?」
と聞かれるほうが答えやすい。

それなら、私が知っている本の中から、
「こんなのあるよ」
と渡せるから。
それは、“あなたに合う本”を選ぶというより、
“こういう本を私は読んだことがあるよ”
と情報を渡す感覚に近い。
ブログでしているのも「おすすめ」ではない
ちなみに、ブログで本を紹介していることも、私は「おすすめしている」とは思っていない。
もちろん、まったく合わなかった本をわざわざ紹介することはほとんどない。
自分の中で「よかった」と思えた本について書いている。
でも、
「この本、絶対読んで!」
ではない。
私は読んでこう思った。
ここが好きだった。
ここで少し引っかかった。
そんなものを置いているだけ。
それを読んで、
「ちょっと気になるな」
と思ってもらえたら嬉しい。
あらすじや、私が感じたことを材料にして、
自分で「読んでみようかな」と選んでもらえたら、それでいい。
「おすすめ」より「こんな本を読んだよ」
本って、読む人によって受け取り方が違う。
だから私は、
「これがおすすめ!」
と一冊を差し出すより、
「私はこんな本を読んだよ」
くらいの距離感のほうが、たぶん好きなんだと思う。
……そもそも、同じ本でも読む時期が変われば、感じ方まで変わることがある。
その話は、また次にでも。
