こんにちは、蝶まめです。
今回紹介するのは、村田沙耶香さんの『コンビニ人間』です。
📖 読書天気:曇り ☁️
自分で何を貫くことにしても、周りの目まで変わるわけではない。そんな息苦しさが残る一冊でした。
「普通」って、一体誰が決めるんでしょう。
周りと少し違っていても、本人が困っていなければ、それは本当に変えなければならないことなのでしょうか。
『コンビニ人間』を読んでいて、私が気になったのは主人公の古倉恵子よりも、むしろ彼女を「普通」にしようとする周囲の人たちでした。
こんな人におすすめ
- 周囲から求められる「普通」に息苦しさを感じたことがある人
- 「普通って何だろう」と考えたことがある人
- 仕事や居場所と自分らしさについて考えてみたい人
- 少し変わった主人公の物語を読みたい人
- 読みやすくても、読後に考えが残る作品を探している人
ページ数も多くなく、文章にも独特のリズムがあります。
すっと読める一方で、「普通」や「自分に合う場所」について、読み終わってからも考えたくなる作品です。
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『コンビニ人間』はどんな本?
主人公の古倉恵子は36歳、未婚。
大学時代から18年間、同じコンビニでアルバイトを続けている。
彼女にとってコンビニは、どう話し、どう振る舞えばいいのかが明確な場所。店員として必要な動きを身につけ、「世界の正常な部品」としてそこにいる。
しかしコンビニの外では、「なぜ就職しないのか」「なぜ結婚しないのか」と周囲から疑問を向けられる。
「就職する」「結婚する」。
多くの人が当然のように受け入れている「普通」に当てはまらない恵子と、彼女をその枠へ収めようとする人たち。
コンビニという場所を通して、「普通」とは何なのかを問いかける物語。
感想|そこまで「普通じゃない」のかな
もちろん、恵子には「ちょっと変わっているな」と思う部分があります。
妹に「普通になって」と言われるほど、彼女は普通ではないのでしょうか。
私はそこが引っかかりました。
だって、みんなそれぞれ違います。
結婚したい人もいれば、したくない人もいる。恋愛に興味を持つ人もいれば、そうではない人もいる。
恵子は、自分らしさを追い求めているというより、それを追い求めること自体を諦めて、周囲が安心する「型」に合わせようとしているように見えました。
マニュアルに従って、周りがそれで安心して、自分以外の人が満足するならそれでいい。
そう思ってしまう気持ちは、私には少しわかります。
だからこそ気になったのは、彼女自身よりも周囲の人たちでした。
相手をそのまま受け入れるより、「普通ならこうするはず」という形に当てはめようとする。
それは、相手のありのままを受け入れることを、根本的なところで無意識に拒んでいるようにも感じます。
コンビニが彼女の居場所なら、それでいい
読んでいて、恵子はコンビニ店員としてかなり仕事ができる人だと思いました。
その場で必要なことを判断して動き、求められている役割を果たせる。
少なくともコンビニという場所では、彼女にはそれができます。
そこで得た自信は、仕事の中だけで完結するものではなく、彼女自身にもつながっていると思うのです。
最初は、なんとなく始めたアルバイトだったのかもしれません。
歯車になることで「普通」に見えるなら、それでいい。
そんな場所だったものが、長い時間をかけて、いつの間にか彼女自身にとっての「普通」になっていった。
それなら、それでいいんじゃないでしょうか。
まったく違う世界へ飛び込むことは簡単ではありません。
誰だって、新しい場所でうまくいくとは限らない。
もともと周囲とは少し違う感覚を持つ恵子が、自分を成り立たせられる場所をコンビニに見つけた。
それがコンビニだったからといって、何がいけないんだろう。
結婚や恋愛に本能的な興味を持てないことも含めて、本人がそれで困っていないのなら、周囲が変えようとする必要はないのではないかと思いました。
自分を認められる場所を、自分で選ぶ
この物語のラストに、私は爽快さを感じました。
それは「自分らしく生きればいい」という単純なものではありません。
周囲の目は、きっと簡単には変わらない。
何を選んでも、「普通はこうするもの」と言う人はいるのでしょう。
それでも、自分を認められる場所を自分で選ぶことはできます。
周囲が納得する生き方ではなく、自分が納得できる場所を選ぶ。
恵子は最後に、自分にとっての「普通」を自分で選んだように思えました。
まとめ|「普通」は誰のためにあるんだろう
古倉恵子は、確かに少し変わって見える人です。
でも、結婚や恋愛に興味を持たないことや、長くアルバイトを続けていることまで、「普通ではない」と変えなければならないのでしょうか。
コンビニという場所で必要とされ、仕事ができて、そこで自分自身を成り立たせることができる。
それが彼女にとっての普通なら、それでいい。
周囲の目は変わらなくても、自分を認められる場所は自分で選べる。
『コンビニ人間』は、「普通」という言葉が誰のためにあるのかを考えたくなる一冊でした。
