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『コズミック・ガール』感想│『宙わたる教室』続編は、科学で「人」を描く物語

晴れ☼

こんにちは、蝶まめです。

今回紹介するのは…伊与原新さんの
『コズミック・ガール〜宙わたる教室〜』。

読書天気:晴れ🌤️
前を向く力をもらえて、読み終わったあと少し空を見上げたくなる一冊。



NHKでドラマ化された『宙わたる教室』の続編です。


前作は原作を読んでも、ドラマを観ても泣いていたくらい好きな作品。
続編が出ると知って、迷わず予約しました。

でも、単純に「大好きだった科学部のその後が読める!」というだけの作品ではありませんでした。

新しい科学部、新しい生徒たち。

そして改めて描かれるのは、科学そのもの以上に、簡単にはわかり合えない「人」とどう向き合うのかということ。

伊与原新さん、やっぱり科学で人を描くのがうまい。

こんな人におすすめ

  • 『宙わたる教室』が好きだった人
  • 宇宙や星、科学を題材にした小説が好きな人
  • 不器用な人たちが少しずつ前へ進む物語が好きな人
  • 人間関係を丁寧に描いた作品を読みたい人
  • 読後に静かな余韻が残る小説が好きな人

「科学」と聞くだけで難しそう……と感じる人にもおすすめしたい作品です。

専門的な話は登場しますが、科学の知識を試される小説ではありません。
むしろ、その科学を通して描かれる「人」の方に心を動かされます。



『コズミック・ガール』はどんな話?

舞台は、さまざまな事情を抱えた生徒が通う東新宿高校定時制。

かつて理科教師・藤竹を中心に活動していた科学部は、「火星のクレーター再現実験」で大きな成果を残しました。

しかし、それから6年。

藤竹は学校を去り、科学部もなくなっています。

そこへ、私立の進学校から定時制へ転入してきた飯星佐那が現れます。

佐那が目指したのは、消えてしまった科学部の復活。

新しい生徒たちによる科学部が動き始める一方で、岳人や佳純など前作で出会った人物たちの現在も描かれていきます。

前作から受け継がれたものと、新しく始まるもの。

『宙わたる教室』を読んだ人には、うれしさと少しの寂しさが入り混じる続編です。

※前作の人物や出来事も関わるため、個人的には『宙わたる教室』から読むのがおすすめです。


感想│人は、簡単にはわかり合えない

この作品を読んでいて強く残ったのが、

人は、簡単にはわかり合えない。

という感覚でした。

同じ場所にいても、同じものを見ているとは限らない。
好きなものも違えば、抱えている痛みも違う。

誰かにとって何でもない一言が、別の誰かには大きく刺さることもある。

だから人と人の間には、どうしても小さなズレが生まれます。

それを完全になくすことなんて、たぶんできません。

でも、この作品はそこで「どうせわかり合えない」と終わらない。

相手のことを完全に理解できなくても、

理解しようとすることはできる。

私はそこに、この物語の優しさを感じました。

登場人物たちは、みんな少し不器用です。

思うようにいかない。
自分の気持ちをうまく言葉にできない。
誰かを理解したいのに、間違えることもある。

それでも自分なりの方法で向き合い、傷つきながら少しずつ道を拓いていく。

その姿が、とても愛おしく感じました。


伊与原新さんの「科学」は、人を描くためにある


伊与原新さんの小説を読むたびに思うのですが、「知識」と「感情」の結びつけ方が本当にうまい。

宇宙、地学、自然科学。

扱われるテーマだけを見ると、少し難しそうに感じるかもしれません。

実際、専門的な説明が出てくる場面もあります。

でも、「これを全部理解しないと物語についていけない」ということではありません。

むしろ科学は、人の考え方や感情、生き方を照らすために置かれているように感じます。

だから理系分野が得意ではなくても大丈夫。

科学を全部理解できなくても、そこで描かれている人の気持ちには触れられる

『コズミック・ガール』も、そんな伊与原新さんらしさをたっぷり味わえる作品でした。

前作が好きだった人には、ぜひ読んでほしい

そして前作ファンとしては、やっぱり触れずにはいられない。

かつての科学部メンバーの「その後」が見られるのは、純粋にうれしいです。

時間が経てば、当然みんな同じ場所にはいません。

それぞれの人生が進んでいます。

だから懐かしいだけではなく、「時間が流れたんだな」と少し寂しくなる瞬間もありました。

前作の続きをそのままなぞるのではなく、受け継がれたものを次の世代へ渡していく。

そんな続編になっているところも好きでした。

そして……

藤竹さん!!

あえて、これ以上は言いません(笑)。

読んだ人とは、たぶんこの一言だけで話せるんじゃないかな…。


まとめ│読み終わったら、少し宙を見上げたくなる

『コズミック・ガール ~宙わたる教室~』は、科学部を舞台にしながら、人と人との距離や、理解しようとすることの意味を描いた物語でした。

派手な展開で一気に引っ張るタイプの作品ではありません。

でも、不器用な登場人物たちが自分なりの方法で前へ進んでいく姿が、静かに心へ残ります。

『宙わたる教室』が好きだった人にはもちろん、

「科学小説って難しそう」

と思っている人にも読んでみてほしい一冊です。

科学を知ることで、世界の見え方が少し変わる。

そして人を知ろうとすることで、誰かの見え方も少し変わる。

『宙わたる教室』『コズミック・ガール』を読んで、ほんの少しでも宇宙や科学に興味を持つ人が増えたら――。

科学好きの私は、密かにワクワクします。

今夜はちょっと、宙を見上げてみませんか?