当サイトは広告・プロモーションが含まれています。

池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』感想|学生連合に胸が熱くなった。箱根駅伝の見方が変わる一冊

快晴☀

こんにちは、蝶まめです。

今回紹介するのは、池井戸潤さんの
『俺たちの箱根駅伝』

📖読書天気:快晴☀️
熱くて、泣けて、読み終わったあとには現実の箱根駅伝まで少し変わって見える一冊です。

私は箱根駅伝が好きです。
……と言っても、もともとスポーツは苦手なんですけど。

子どもの頃から、お正月の定番としてテレビで流していた箱根駅伝。
当時は大学生なんて、ずいぶん年上の「大人」に見えていました。

いつの間にか同世代になり、ある大学の活躍を見て「すごい!」と思ったことをきっかけに、ルールや区間ごとの特徴、各大学の戦い方まで調べるように。

そんな私が2024年に読んだのが、池井戸潤さんの『俺たちの箱根駅伝』。

これがもう、本当に熱かった。

この作品を読んでからの箱根駅伝は、以前とは少し違ったものになりました。



『俺たちの箱根駅伝』は、走る人だけの物語じゃない

『俺たちの箱根駅伝』は、池井戸潤さんが箱根駅伝を題材に描いた上下巻の長編小説。

物語は、大きく二つの視点で描かれます。

ひとつは、箱根駅伝を目指す学生サイド。

そしてもうひとつが、箱根駅伝の中継を作るテレビ局サイドです。

選手や監督が箱根を目指して戦う一方で、箱根駅伝を「伝える」ために奔走する人たちがいる。

走る人。
支える人。
そして、伝える人。

長い取材を重ねて描かれた作品だけあって、普段から箱根駅伝を見ている人ほど、「ああ、箱根だ」と感じるリアリティーがあります。

でも、この作品の面白さはリアルな駅伝描写だけではありません。

学生たちとテレビ局。

まったく違う立場にいる人たちが、同じ箱根駅伝へ向かって動いていく。

二つの物語が並走していく感じが、とにかく熱いんです。



選手は「走れて当たり前の超人」じゃない

私は本当に運動が苦手。

「この区間は、こういう理由で辛い」
「この走り方をすると、こうなる」

そんな話を聞いても、

「そうなんだ……辛いんだね」
と、頭で理解することしかできません。

だから、駅伝やマラソンを走る人たちを、「超人」のように見ていたのかもしれません。

ものすごいスピードで何キロも走る。

箱根を走るような選手なら、それができて当たり前。

そんな見方をしていたように思います。

でも『俺たちの箱根駅伝』で選手たちの内側に触れ、当たり前のことに気づかされました。

彼らも普通の大学生なんですよね。

結果を求められて、悩んで、焦って。
思い通りにならないこともある。

ここまで積み重ねてきたものがあるからこそ、一本の走りにもいろいろな思いが詰まっている。

小説だからこそ見える選手たちの内側を知ったことで、実際の選手を見る目も、少し変わったように思います。

強い選手が集まっていても。

学生連合に選ばれているのは、個人として力のある選手たちです。

ベストタイムだけを見れば、本選出場大学と比べても上位を狙える選手揃いのことも。

それなのに。

どうして学生連合は、いつも優勝争いから遠いところにいるんだろう。

箱根を見ていても、いつの間にか、

「あ、学生連合ここにいたんだ」

くらいの位置になっていることもある。

これだけ力のある選手を集めたら、もっと上に行けるんじゃないの?

ずっと、そんなことを思っていました。

でも『俺たちの箱根駅伝』を読んで、その疑問がとても納得できる形で回収されました。

学生連合はとても特殊なチームです。

大学の仲間ではない。
ずっと同じ目標に向かって練習してきたわけでもない。

限られた期間だけ集まった選手たち。

そこに最初から強い信頼関係や、「絶対に勝ちたい」という思いがあるとは限りません。

自分の大学の襷ではない。
記録にも残らない。

自分たちは何のためにここで走るのか。
何のために、本気になるのか。

そんな気持ちが生まれたとしても不思議ではありません。

個々の走力が高ければ、それだけで駅伝に勝てる。

そんな単純な競技ではないんですよね。

その現実を、物語として答えてもらったような感覚がありました。

だからこそ、学生連合が変わっていく姿がたまらない。

「せっかく箱根を走れるんだから、いい経験をしよう」

それだけでは終わらない。

記録に残ることはない。

それでも、勝ちにいこう。

そんな思いで奮起していく選手たちに、どんどん引き込まれました。

期間限定の寄せ集めだったはずの選手たちが、ひとつのチームになっていく。

もちろん、小説と現実は違います。

実際の学生連合には、その年ごとの選手や監督、コンディションなど、いろいろな事情があるでしょう。

でも読んでいると、

「これ、現実でもみんなが本気で同じ方向を向いたら、とんでもないことが起こるんじゃない?」

と思いたくなる。

学生連合だって、本気で価値にいってもいいじゃない。


そんな夢を見せてもらいました。



「勝ちに行く」学生連合と、伝えるテレビ局

もう一方にいるのがテレビ局です。

箱根駅伝では、たくさんの大学・選手が同時に走っています。

でも、テレビに映ることができる選手は限られる。

誰を映すのか。
どこを追うのか。
何を視聴者へ伝えるのか。

私たちが毎年当たり前のように見ている箱根駅伝の中継も、誰かが考え、選択して作っています。

そんな「伝える側」が、学生連合に目を向けた。

学生連合だって、応援に値する。
このチームには、伝える価値がある。

選手たちが「勝つ意味」を見つけていく一方で、テレビ局側にも変化が起きていく。

この二つの視点が同時に動いていくところに、何度もゾクゾクしました。

選手たちだけのスポーツ小説ではない。

箱根駅伝という大きなイベントそのものを描いているからこその面白さだと思います。

終盤。泣いたーー。そして変わる感じ方

学生連合が本選で何を見せるのか。

そして、それを見届けるある人物。

この作品、熱いだけじゃありません。

泣かせにきます。

しっかり泣かされました。



そして、この作品が私にとって特別なのは、「面白かった」「泣いた」で終わらなかったこと。

読んだ後に見た現実の箱根駅伝への感情が変わったんです。

特に学生連合。

本選へ進める大学がある一方で、そこで箱根への道が途切れてしまう大学もある。

でも、その中には個人として本選へ向かう可能性を残す選手もいる。

学生連合がどこを走っているのか自然と追うようになった。

小説を読んで、現実のスポーツの見え方まで変わる。

私にとって『俺たちの箱根駅伝』は、そんな一冊でした。

2026年秋、『俺たちの箱根駅伝』がドラマになる

『俺たちの箱根駅伝』が、2026年秋に日本テレビ系でドラマ化されます。

初回放送は2026年10月10日。

実際に箱根駅伝の生中継を続けてきた日本テレビが、関東学生陸上競技連盟の全面協力を得て映像化するというのだから、箱根駅伝好きとしては期待せずにいられません。

原作の大きな魅力だった「走る側」と「伝える側」。

これを実際に箱根駅伝を放送しているテレビ局がどう映像にするのか、とても楽しみです。

そして学生側では、小林虎之介さんが明誠学院大学の青葉隼斗役を演じます。

私にとって小林虎之介さんといえば、『宙わたる教室』の柳田岳人役。

あの作品で印象に残った俳優さんが、今度は箱根駅伝を目指す大学生を演じる。

これも個人的に楽しみにしているところです。

ドラマ前にもう一度読みたくて、ついに買ったら……

この本をは図書館で借りました。

でも、本当に好きだった。

読み終わったあとも「手元に置いておきたいな」と何度も思った作品です。

ただ、単行本は上下巻。

両方買うとなると、それなりのお値段です。

「いつか文庫になったら買おう」

と思いながら、ずっと先延ばしにしていました。

そしてドラマ化が決まりました。

放送前に、どうしてももう一度読みたい。
一年くらい悩んで騒いでいました。

放送が「秋」で確定してキャストも発表、ティザーも流れ出す…
改めて文庫化の予定を調べたものの、未定。

それならもう買おう!!!

そう決心して、つい最近、単行本の上下巻を思いきって購入しました。

……そして、2026年8月31日。

文庫化発表。

発売日は、

2026年9月2日。

なんで今なのーーー!!
私、文庫化の予定がないことまで確認してから単行本を買ったんですけど!?
しかも買ったばっかりなんですけど!?(8月半ば…)

いや、文庫が出るのは嬉しい。

これから読む人には、ぐっと手に取りやすくなる。

嬉しいんです。

嬉しいんだけど……タイミング!(笑)

買ったことを後悔することはないんです。

一度読んだ本を、それでも自分の本棚に置きたくて買った。

それくらい好きな作品なのは間違いないので。

ただし。

文庫に解説やあとがきが追加されていたら……。

そのときは、ちょっと悩みます。



箱根駅伝が好きな人にも、「お正月になんとなく見る人」にも

『俺たちの箱根駅伝』は、箱根駅伝が好きな人にはぜひ読んでほしい作品です。

普段から見ている人なら、

「そうそう、ここが気になるんだよ」

と思うところもあるでしょう。

一方で、

「お正月にテレビがついているからなんとなく見るくらい」

という人にもおすすめしたい。

だって、私も最初はそうだったから。

走っている選手たちだけではなく、その後ろにいる人たち。
そして、私たちのところへ箱根駅伝を届けている人たち。

いろいろな立場から箱根を知ると、次に見る箱根駅伝が少し違って見えるかもしれません。

私自身、この作品を読んでからそうなりました。

そして今年もきっと。

推している大学を全力で応援しながら、その次には学生連合がどこを走っているのか、しっかり探していると思います。