こんにちは。ローズマリーです。
もうすぐ夏休みがやってきますね。
子供の頃の夏休みを思い出すと懐かしくなりますよね。
今回紹介する映画は、海辺のリゾート地での記録と記憶の物語です。
キラキラ眩しいあの夏。
aftersun/アフターサン
ソフィは31歳。
11歳の夏に31歳の父カラムと過ごしたホームビデオの映像を振り返りながら、当時のことを想像を交えて思い出していくストーリーで、あまり多くは語られません。
ほぼ夏休みのホームビデオの再生と大人になったソフィの想像による映像作品という方がしっくりくるかもしれません。
解釈がやや難しい作品で、観る人を選ぶので誰にでもおすすめとは言えません。
今回は感想によるネタバレがあります。
でも、アフターサンに限って言えばネタバレもアリかなと思っています。
ストーリーは特に何が起こるわけではなく、リゾート地で過ごす様子を眺める映画だから。
そして鑑賞後に、なにをどう感じるかは人それぞれ違うのだからネタバレそのものがないとも言える。
アフターサンは、なにも知らずに観るよりは捕捉がある方がいいと思える作品。私が最初に観た時は疑問だらけでしたから。もう一度観に行こうと思うくらいに。
なんの情報も要らない人は、ネタバレの部分は読まずに最後のパンフレット紹介に進んでくださいね。
作品情報・あらすじ
aftersun/アフターサン
2022年・日本公開2023年・ドラマ
監督 :シャーロット・ウェルズ
脚本 : シャーロット・ウェルズ
キャスト:ポール・メスカル
フランキー・コリオ
あらすじ
ソフィは11歳の少女。両親は離婚し母親と暮らしています。
夏休みは離れて暮らす父親とトルコのリゾート地へ。
父のカラムは旅行中に31歳の誕生日を迎える。
楽しいバカンスではあるものの、父の様子は、どこか心ここにあらず、何か悩みを抱えているようにもみえる。
20年後、父と同じ年齢になったソフィが当時を振り返りビデオを再生してゆく。
映画を観て感じたこと
どこがどうとは言えない。
ただ無性に懐かしい気がするーー。
ヒリヒリする日焼けあとのように、遠い記憶をくすぐるように、心がざわめく。
現在31歳のソフィのシーンは少なく笑顔はないから幸せではないのだろうか。
それともただ父を思い出して笑顔にはなれないだけだろうか。
父カラムに似てどこか憂があるように感じる。
映画の内容は当時のホームビデオの映像と大人になったソフィの記憶と想像で補足した物語。
だから事実は語られないまま。
私たちは、その物語を観て想像するしかない。
わかっているのはソフィはスコットランドで暮らしていること。
両親は離婚して母に育てられているということ。
父カラムはどこに住んでいるのかも明かされない。
毎年、夏休みの数日はソフィと過ごしているようだ。
仕事も不明。
情報はたったこれだけ。
トルコのイギリス人向けリゾートホテルで過ごしたときの物語。
2人は仲が良さそうだ。
ただの夏休みのホームビデオと言ってもいい。
だが、そこに31歳になったソフィの想いが割り込んでくる。
マリンブルーの海、トロピカルドリンク、ゲームやビリヤードをしたりとふたりは楽しそう。でも、金銭的に余裕はなさそうでディナーの時、お金を払わず逃げたりした。ソフィのお金もないのにというセリフからも想像がつく。きっと無理をしてでも楽しい思い出を作りたかったんだね。
それでもソフィの毎日は楽しく過ぎていく。
帰りたくない、もっとここにいたいというソフィ。
だが、カラムは心から楽しんではいない。
大人になったソフィは、なにか悩んでいたのだと想像する。幼かった当時のソフィにはわからなかった。
嗚咽するカラムの姿は、ソフィの想像だ。
このビデオの中に入れたらーー。
あの日にもう一度戻れるのに。
そして楽しかったバカンスは終わりを告げ空港でソフィを見送るカラム。
歩いて行くカラムはドアの向こうに消えたーー。
その後、彼ががどうなったのかは描かれていません。でも想像することはできます。
映画を見終わった後、誰かと話したくなる。
そんな映画アフターサン。
あなたはどう感じるのでしょうか。
アフターサンはビデオに映し出された当時の映像にソフィなりの想像を加えた心の映像化作品。
どう解釈するかは自由でいいと思います。
おしゃれなパンフレット
映画の中で、ポラロイド写真を撮ってもらうシーンがあるのですが(ポラロイドって懐かしくないですか)それは一枚です。
あとはビデオカメラの映像が全てですが、このパンフレットは思い出の映像を切り取った写真のようなデザインになっています。
あの夏の思い出がギュッと詰まった一冊ということでしょうね。
監督のシャーロット・ウェルズは、スコットランド生まれ。
アフターサンが長編デビュー作になります。
独自の映像表現が見事で、音楽も相まって見るひとの心に深い余韻を残します。
そう、鑑賞後の余韻が凄いんです。
しばらく立ち上がることができなかったし、数日間その余韻が残っていました。
詳しいことは何も語られず、大人になったソフィのセリフはないに等しい。
だから想像するしかない。
この物語は、それを望んでいるのかもしれません。
今回も最後までお付き合いありがとうございました。
次回の映画紹介で会いましょう。